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ブラジルリーグ(サッカー)の仕組みやレベルについて

 Jリーグはもとよりサッカー界にも数多くの名プレーヤーを輩出してきたサッカー王国ブラジルだが、ことブラジルのプロサッカーリーグに関しては、日本国内での知名度、注目度はそこまで高くないことも事実である。2020年に本田圭佑がブラジル1部リーグの「ボタフォゴFR」に加入をしたことにより、一時的に国内でも注目を集めたが、本田自身わずか1シーズンのみで退団となってしまった。そのため再びブラジルリーグの情報に触れる機会は減ってしまっているのが現状だ。

 そんな王国ブラジルのプロサッカーは、Jリーグとは比べ物にならないほど多くのプロサッカークラブが存在しており、奥が深いのも事実。よくJリーグのブラジル人選手の前歴クラブを検索していくとブラジルのリーグに属していないチームが出てきたりすることもしばしある。ブラジルではリーグ戦カップ戦のほかに州ごとで開催される州選手権というリーグ戦も存在しており、世間一般的な欧州やJリーグと比べても少し複雑なのがブラジルサッカーの特徴なのだ。この記事では知っているようで知らないブラジルリーグや州リーグ、カップ戦などのレギュレーションについて書いていこうと思います。

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ブラジルサッカーの主要大会

ブラジルでは以下の3つの大会が主な大会となる。

●ブラジル全国選手権(カンピオナート・ブラジレイロ)
→日本のJリーグに値する年間通して行われるリーグ戦。1部(セリエA) ~ 4部(セリエD)までの構成となっている。

●州選手権(カンピオナート・イスタドゥワイス)
→全国選手権と並行して行われるのが州選手権である。この州選手権はブラジルの全27州それぞれで行われる州内で優勝を争う大会である。参加クラブもビッグクラブから街クラブまでと州により様々。

●ブラジル杯(コパ・ド・ブラジル)
→国内のカップ戦にあたる大会。前年度の成績により参加条件が与えられる大会となりレギュレーションは複雑。

日本では、2月下旬から12月上旬にかけてJリーグ、ルヴァン杯、天皇杯の全ての日程が組まれているが、ブラジルサッカーの場合は1月から12月にかけてリーグ戦、州選手権、カップ戦がの日程が組まれており、非常に長いシーズンとなっている。リーグ戦は4月~12月にかけて行われ、州選手権は1月~4月開催。コパ・ド・ブラジルは前年度の州選手権の上位チームが参加する大会になり開催は2月~9月となっている。

さらに力を兼ね備えたビッククラブともなると、成績次第では南米のCLにあたるコパ・リベルタドーレスやコパ・スダメリカーナ(南米のELにあたる)などの大会も重なってくるためチームによっては非常に過密日程となっている。

おわかりいただけただろうか。ブラジルサッカーは年間を通して異なる大会が多く存在しており、「世界一過密なリーグ」と言っても過言ではないほどサッカーがある日々が当たり前なのである。

ブラジルリーグとは

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カンピオナート・ブラジレイロ1部~4部のチーム数(2020年)

「画像引用元:http://jornaldimensao.com.br/

現在リーグ戦(以下全国選手権)は4部構成になっており、1部~3部はそれぞれ20チーム、4部ではなんと8チームの8グループ制に分かれており、4部リーグだけで総勢64チームも存在する。Jリーグの現在のチーム数は60クラブになるため、ブラジル4部のみで比較してもJリーグのチーム数を上回る数となっている。ちなみにブラジルリーグで合計すると124チーム相当のクラブが存在することになる。

 カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA(1部)

 一度は聞いたことあるブラジルの大抵のチームはセリエA(1部)に属する。

ジーコが所属していたフラメンゴやCWCでも来日した、サンパウロ、インテルナシオナル、コリンチャンス、ネイマールや三浦知良も在籍していたサントスなど...他にもビッグクラブは多く存在する。

リーグは20チームのホーム&アウェイ方式で行われ、上位6位までが翌年のコパ・リベルタドーレス杯への出場資格が与えられ、7位から12位までがコパ・スダメリカーナの出場資格が与えられる。17位から20位の4クラブがセリエB(2部)へ降格する仕組みになっている。

 カンピオナート・ブラジレイロ・セリエB(2部)

 近年のJリーグの補強では、1部や2部からの補強が多いことから2部リーグに属するチーム名も耳に挟んだことはあるかもしれない。セリエBの2023年シーズンで挙げると、シャペコエンセやポンチ・プレッタ、ヴィトーリア、1部優勝の経歴があるグアラニなどなど。

 セリエA同様にセリエBもリーグは20チームのホーム&アウェイ方式で行われ、上位4位までがセリエAに昇格。17位から20位の4クラブがセリエC(3部)へ降格する仕組みになっている。

 カンピオナート・ブラジレイロ・セリエC(3部)

  日本ではJ3にあたる3部リーグのセリエCまで来ると聞き馴染みのあるクラブは減ってくるであろう。フィゲイレンセやナウチコ、ヴォルタ・レドンダあたりは近年Jリーグに来るブラジル人プレーヤーも在籍してきたクラブでもあるため聞いたことがある程度かもしれない。

  セリエCでは1部や2部とは異なり、複雑なレギュレーションになっており、1stステージでは20チームのホーム&アウェイ方式で行い、上位8チームを決定。2ndステージでは上位8チームを4チームずつの2グループのリーグ戦に分けて、最終順位の1位同士で優勝を決める方式になっている。なお、セリエBには2ndステージへ進んだ2グループの上位2チームが昇格でき、1stステージの下位4チームがセリエD(4部)へ自動降格となる。

 カンピオナート・ブラジレイロ・セリエD(4部)

 他国と比べても異例のレギュレーションなのがブラジル4部リーグ。前述の通り、総勢64チームが参加する大規模なリーグとなり、もはやセリエAで優勝することより凄いことだと思うほどのリーグである。笑

 セリエDでは、8クラブが参加するリーグが8グループ存在し、上位4チームの計32チームがラウンド32へ進出。その後トーナメント方式を行い準決勝出場チーム4クラブがセリエCへと昇格する。最終カテゴリーのため降格は無いが、各チームが参加している州選手権の成績次第ではセリエDへの参加資格は得られないため、残留が保証されるわけではない。

 ちなみにセリエDでは意外にも、セリエA在籍歴があるチームが戦っていたりもする。例えば1970年代から2002年までセリエA常連チームだったポルトゥゲーザや2004年に国内カップ戦のコパ・ド・ブラジルで優勝したECサント・アンドレなども2023年はセリエDに属する。

ブラジル州選手権とは

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「画像引用元:https://www.torcedores.com/

 全国選手権以外に主要なリーグの位置づけにあたるのが、州ごとで区切られるブラジル州選手権である。州選手権はブラジルの全27州それぞれで行われる伝統的な大会で、各州選手権の中にも数多くのチームが存在しており2部~3部ほどの構成となっている。毎年昇降格が繰り返されるため全国選手権では3部4部相当のチームが州選手権の1部に属するなどということもあり、ジャイアントキリングが起きるという意味では日本でいうところの天皇杯にも近しい存在であろう。たとえ州の大会とはいえ、近隣のライバルチームとの対戦(ダービー)などがあるのも州選手権の醍醐味である。

 また、各州選手権の上位2チームや順位次第では翌年のコパ・ド・ブラジルの参加資格も与えられる。さらに前述でも述べたようにセリエCまでのカテゴリーに属していないチームは州選手権の成績次第ではセリエDへの参加資格も与えられないという決まりなどもあるため、チームによって州選手権に対する意気込み、意味合いはそれぞれで変わってくるであろう。

 なお、ブラジル全国選手権は日本のJFAにあたるCBFが主催となるが州選手権は各州のサッカー協会が主催となり行う。

ブラジルのカップ戦とは

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「画像引用元:http://www.cearasc.com/

 ブラジルの代表的な国内カップ戦は、コパ・ド・ブラジルといいこちらも非常に難しいレギュレーションとなっている。参加チーム数は91クラブとなり、対戦方式は第1ラウンド(80チーム)→第2(40チーム)→第3(20チーム)→第4(10チーム)と戦い、勝ち残った5チームとベスト16より新たに参加する11クラブ(主にビッグクラブ)がトーナメント方式で戦い、優勝が決まる形となる。また優勝チームは翌年のコパ・リベルタドーレス出場権利が得られる。

 参加資格を得られるチームは主に27州で行われる州選手権の前年度の成績に基づいており、各州の優勝準優勝チームを含む好成績を収めたチームが州連盟の代表となり合計70チームが参加。さらにブラジル国内での対戦成績を可視化したCBFランキングというものがあり、そのランキング上位の10チームとラウンド16からはコパ・ド・ブラジル前年度王者やセリエAの上位チームはじめとする主要大会やリーグで好成績を収めた、いわゆる国内の「ビッグクラブ」が11チーム選抜され、成り立っている

国外の主要大会とは

 南米の国際大会は代表的な大会が2つ存在する。一つが、CLやACLにあたる南米王者決定戦のコパ・リベルタドーレス。そしてもう一つがヨーロッパリーグの立て付けになるであろうコパ・スダメリカーナという大会がある。両大会共に南米サッカー連盟(CONMEBOL)が主催となり、南米10か国のリーグの中から上位チームが参加し争われる。

サッカー好きなら一度は耳にしたことあるであろう大会だが、実はこの2つの大会は日本とも少しばかりゆかりもある。

 コパ・リベルタドーレスでは優勝チームがクラブワールドカップ(旧トヨタカップ)への出場資格が得られるため、少し前まで(日本開催のころ)は日本で南米王者を見れる機会も多くあった。2011年にネイマール擁するサントスが来日したことや、翌年にコリンチャンスが来日したのは記憶に新しいことであろう。しかも南米代表チームのサポーターははるか遠くの日本まで数千数万人と押し寄せるため、2015年のリーベル来日の時は大阪の道頓堀や渋谷で決起集会などを開き警察沙汰になるということもあった。笑

 一方コパ・スダメリカーナにおいても、優勝クラブが2008年よりJリーグカップ王者と対戦する王者決定戦(旧スルガ銀行チャンピオンシップ)というものが行われている。2008年から現在に至るまで開催国は日本となり、こちらも毎年南米のチームが来日するということもありJリーグサポーターにとっても馴染みある大会となっている。

ブラジルリーグのレベル

ブラジルリーグのレベルを明確に断言することはできないが、決してレベルの低いリーグではないことは事実であろう。世界各国のリーグやクラブのランキングをまとめている「Global World Rating of Leagues and Clubs - the KA」の最新のデータでは、ブラジルの1部リーグにあたるカンピオナート・ブラジレイロ・セリエAの順位は世界で第11位となっており、Jリーグの25位より高く、トルコやスコットランド、ウクライナのリーグより上位の位置付けとなっている。

近年ではガブリエル・マルティネッリのようにセリエD(4部リーグ)からアーセナルへ移籍する例もあり、王国ブラジルだけあってカテゴリー問わず能力が高い選手はゴロゴロと存在するのがブラジルリーグの面白さでもある。

日本での放送について

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 ブラジルサッカーの日本国内での放送について調べたところ、残念ながら全国選手権や州選手権を放送しているところは現在は存在していない模様。その昔DAZNが上陸した1年目に全国選手権のハイライト的なものを放送していた過去がありDAZNはブラジルにも放映権があるため、今後DAZNで視聴できるチャンスはあるかもしれない。