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【分かりやすく】サッカーのVARとは?Jリーグにも導入されているVARのルールについて

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VARについて

VARとはVideo Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の単語の頭文字を取った略称であり、ビデオ確認を担当する審判員を指す名称である。

VARの役目はその名の通り、フィールド上の主審や副審の「はっきりとした、明白な間違い」をなくすためにビデオ映像を用いて審判員を“アシスタント”するシステムになる。VARは2017年ごろよりブンデスリーガとセリエAで正式な運用が始まり、Jリーグにおいては2020年より導入されたが、新型コロナウイルスの影響もあり開幕戦のわずか1試合のみの適用となっていた。

2021年シーズンより、Jリーグでは本格的に導入されている。

つまりVARとは

VARの哲学としては、「最小限の干渉で最大の利益を得る」となっている。

その為、VARが導入されたからといって、すべてのプレー、ファールに適用されるわけではなく、あくまで審判員のサポートであり、全てをジャッジするのはフィールド上の主審となる。サッカーは展開の早いスポーツであり、その一瞬一瞬を100%正確に判断するのは至難の業。そこで審判員の「はっきりとした、明白な間違い」をなくすためのサポートシステムとしてVARが導入されており、VARがすべてを決めるわけではない。

非常に曖昧ではあるが、以下2つのような感覚でVARの介入は決められる。

10人中、8割9割の人が今のは誤審では?と思ったら
→VARは介入。この場合は「はっきりとした、明白な間違い」の可能性が高く、VARのサポートが発生するケース。

10人中、半数から半数未満の人が今のは誤審では?と思ったら
→VARは介入しない。この場合は「はっきりとした、明白な間違い」の可能性は低く、グレーな部分に該当するため、VARのサポートは発生しないケースとなる。
ただし、グレーなシーンであっても得点時のオフサイドやハンドといったファクト(事実)に関しては、介入するケースがある。

VARが介入するプレー

全てのプレーに介入しないVARだが、ではどのようなシーンに対して介入するのだろうか。VARが介入するタイミングについてまとめてみた。

VARは以下4つの事象+主審が確認できなかった重大な事象のみに介入。

①得点かどうか
②PKかどうか
③退場かどうか
④警告退場の人間違い
+主審が確認できなかった重大な事象

上記①~④のシーンにおいて、「はっきりとした、明白な間違い」に対してVARは介入することができる。一方、「主審が確認できなかった重大な事象」に関しては、例えば主審や副審が確認できない位置やタイミングで相手プレーヤーに対しての反スポーツ的行為(蹴ったり、踏んだり、叩いたり等)をした、又はPA内でのハンドというような見逃してはならない事象起こった場合のことを指す。

VARの流れ

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 VAR介入から判定までの流れは、上記図のように①~⑤の段階で行われている。

①事象発生(4事象)
→これは前述で挙げた、VAR介入における事象が発生する。

②VAR側で当該シーンを映像で確認
→①に対して、VAR担当が当該シーンを映像を確認。主審はVAR側と確認を取る時は、必ず耳に手を当てながらもう一方の腕を伸ばすシグナルを出す。

③VAR介入
→介入か、介入しないかの判断はVAR側で「はっきりとした明白な間違い」の有無で判断することとなる。「はっきりとした明白な間違い」があると判断した場合は、VARは主審にレビューすることを提案する。【VARが介入】

④オンフィールドレビュー or VARオンリーレビュー
→主審は、TVシグナルを出して自らピッチわきのモニターを確認する「オンフィールドレビュー」もしくはVARからの情報のみで判定を下す「VARオンリーレビュー」を行う。オンフィールドレビューの場合、反則の強さや、意図的な反則かどうかなどといった、VAR側では判断がつかず主審の主観が入る事象に対して適用される。一方VARオンリーレビューに関しては、オフサイドやハンドのような「(ラインから)出たか出ないか、(ボールに)触ったか触っていないか」客観的な事実に基づく判定に適用される。

⑤主審の最終ジャッジ
→レビューが終わり次第、2度目のTVシグナルを出したのち最終ジャッジを下す。

 具体例でおさらい!

以下は、Jリーグ2021年の開幕カード浦和レッズvsFC東京の一戦で開始早々に起きたVARの介入事例。

上記に習い、おさらいすると....

①事象発生(4事象)
→1:37 浦和レッズ杉本が得点。ここで得点かどうかの確認が入る。

②VAR側で当該シーンを映像で確認
→1:57 VARが介入。木村主審とVAR側で当該シーンを映像で確認。

③オンフィールドレビュー or VARオンリーレビュー
→1:57 この事象ではオフサイド判定の確認ということで「ラインから飛び出しているか、いないかの客観的な事実(ファクト)確認」だったため、主審はVARオンリーレビューを行う。

④主審の最終ジャッジ
→2:02 レビューが終わり、TVシグナルを出したのちオフサイドの判定を下した。
→2:09 杉本はオフサイドラインより数センチ飛び出た形となり、オフサイドの判定に。「はっきりとした明白な間違い」があったためVARが介入した。

Jリーグでよく聞くVAR用語

●VAR
Video Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の単語の頭文字を取った略称であり、ビデオ判定を担当する審判員を指す名称である。フィールド上の主審や副審の「はっきりとした、明白な間違い」をなくすためにビデオ映像を用いて審判員をアシスタントするシステムになる。

●AVAR
Assistant Video Assistant Referee(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフェリー)の略称。その名の通り、VARのアシスタントとなりVARをサポートする役割を担う。

●オンフィールドレビュー
→ピッチ脇のモニターを主審自ら確認し、最終的な判定を下す際のVARパターンの1つ。反則の強さや、意図的な反則かなどといった、VAR側では判断がつかず主審の主観が入る事象に対して適用される。

●VARオンリーレビュー
→モニター確認を行わず、VARからの情報のみで主審が最終の判定を下す際のVARパターンの1つ。オフサイドやハンドといった客観的な事実(ファクト)に基づく判定に適用される。

●TVシグナル
→オンフィールドレビューのVARが介入となった際に、主審がTVモニターの形を現すしぐさのことを言う。オンリーレビューの際はTVシグナルは出さず、耳に手を当てながらもう一方の腕を伸ばすシグナルを出す。

よくあるVARの間違った認識を改めよう

・すべてのファールに対してVARは介入しない

・VARが最終判定を下すのではなく、VARを用いて最終判定は主審が下す

・VARが介入したからといって判定が覆るわけではない

・選手や監督の意義や申し立てによりVARは行われない

・バレーボールなどのビデオ判定チャレンジとは異なる

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